藤高タオル

今治を盛り上げなければ未来はない。
先代から受け継いだ想い。

藤高 亮(ふじたか あきら)氏(プロフィール)
株式会社藤高代表。大学卒業後すぐに入社し、タオルの企画開発を担当。ロングセラーZUTTO(ずっと)などを開発する。
2019年に父・藤高豊文氏の後を継ぎ、代表に就任。昨年、創業100年を迎え、ロゴマーク、本社内装をリニューアル。
銀座に直営店「藤高タオル銀座」をオープンするなど、新しい取り組みに挑戦している。

藤高タオルの本社に伺うと、その壁に大きく掲げられたロゴマークが目に飛び込んできた。
老舗のタオル会社にしては、モダンなデザインのCI(コーポレート・アイデンティティ)である。
「昨年、創業100年を記念にリニューアルしたCIです。藤高のFであり、フラッグをイメージした形でもあります」(藤高タオル社長・藤高亮氏)
今治というタオル産地に旗を振っていく。そこにはそんな気持ちが込められている。

藤高タオル本社の壁に大きく塗装されたCI

無名だった今治が、産地復活の事例に。

今治のタオルメーカーで国内生産No.1の売り上げを誇り、今治で現存するメーカーの中でも古い歴史を持つ藤高タオル。先代社長(現会長)の藤高豊文氏は、今治タオル再生プロジェクトが発足したときの四国タオル(現・今治タオル)工業組合理事長でもあった。名実ともに、今治タオルを牽引するトップメーカーだ。

そのご子息の藤高亮氏が藤高タオルに入社したのは、2006年。ちょうどその今治タオルのブランディングプロジェクトが始まった年である。亮氏は、当時を振り返る。

「先代が、ある紡績会社の社長さんに『理事長になって何をするんですか?』と聞かれて、とっさに『今治タオルのブランディングをやります』と答えたのがきっかけだったらしいです(笑)」

その頃は、中国産の安いタオルが、国産タオルを圧迫していた。今治のメーカーも数社、人件費などのコストを抑えるために、海外へ移転していった。

「そんな海外製タオルへのアンチテーゼがあったのでしょうね。今治という産地を全国に発信し、盛り上げようとしたんです」

佐藤可士和氏をブランディング・プロデューサーに迎え、スタートしたはいいものの、最初の数年は大変だった。

「産地と言っても一枚岩ではなく、いろいろな考えの会社を一つの方向に導くことの難しさに父は大変苦労しているように見えました」

効果が出たのは、4年目からだった。新宿・伊勢丹に、常設コーナーを設け、それがメディアに取り上げられたことで、少しずつ今治タオルは有名になっていった。いまでは産地復活の成功例と言われるようになり、それまではなかった「タオルを産地で選ぶ」という文化も、あたりまえのものになった。

「海外の有名ブランドから『今治タオルのロゴをつけて販売したい』と言われたり、昔では考えられないオファーが来るようになりましたね」

今治を盛り上げることが、社の発展にもつながる。先代社長の思い描いた未来が、現実になった。

「技術の藤高」を凝縮した、100色のタオル。

しかし「『今治タオル』は通過点に過ぎない」と亮氏は言う。

「たとえば、車を語るときに、『日本車はいいよね』だけではなく、『ホンダがいい』『トヨタがいい』と話すじゃないですか。タオルも、これからはメーカーそれぞれの個性が知られ、ファンがつくようにならないと」

そんな藤高タオルの看板商品は、「F100」。これは、10数年前から売れ筋だった60色のタオル「F90」を、昨年の100周年を機に100色にしたものだ。

「そもそも、タオルの会社だから、タオルにこだわりたいという想いがあるんです。12年前に誕生したF90は、紡績会社と一緒に『タオル専門の糸』を開発するところから始まりました」

それまでの常識では、糸に使う綿は、1番摘みがいいとされていた。しかし、タオルに本当にいい糸を考え抜いた結果、セカンドピックと呼ばれる2番摘みの綿を使うことにしたという。そうすることで、糸がしなやかになり、毛羽立ちも抑えることができる。

また、この糸の原材料であるインドの綿花には、コンタミネーションと呼ばれる汚れやガラクズなどが多く混入しているのだが、その汚れを除去する作業を4回入れるなど、通常よりも念入りの工程を重ねている。ていねいに、ていねいに品質管理をし、柔らかく、毛羽も少なく、早く乾き、長持ちする、藤高タオルオリジナルの「タオル専用の糸」が、こうしてできあがった。

「特にどの部分がオリジナルかと言われると難しいのですが、さまざまな部分で手間がかけられてるところが一番の特徴ですかね。この100色のカラーにしても、自社で染色工場を持っているからこそ実現できたバリエーションです」

F100に改良する際には、さらにこの糸を寝かせ、より毛羽立ちが抑えられるようにしたという。「技術の藤高」と呼ばれるこだわりとテクノロジーが、このタオルには詰まっている。

「技術の藤高」のこだわりが詰まった100色のタオル『F100』。

無名だった今治が、産地復活の事例に。

長持ちするのに柔らかいタオル「ZUTTO(ずっと)」。

2019年、社長に就任した亮氏は、昨年の100周年を機に、社屋をリニューアルし、銀座に直営店をオープンするなど、さまざまな新しい取り組みに挑戦している。冒頭で紹介したCIもそのひとつだ。

「いまでもOEMの生産が多いのですが、これからはもっとオリジナルの商品を増やしていきたいですね。そういう意味で、銀座のショップは、エンドユーザーであるお客様との大切な接点になっていますね」

その銀座店で最も売れているのは、ZUTTO(ずっと)という商品。これは企画開発部にいた頃の藤高氏自身が開発したもので、ヒントは、子どもの頃に家で使っていた双糸のタオルだという。

「うち、タオル屋なのに10年も同じタオル使ってたんですよ(笑)。双糸のタオルは硬いけれど長持ちする。いま売れ筋の柔らかいタオルは、だいたい単糸でつくられているので、耐久性が低いんです」

なんとか双糸で柔らかいタオルは作れないものか。長年、企画開発をしていた経験から、織りや縫製の指示もすることができた。試行錯誤の末、特殊な糸を使い、撚りを工夫し、柔らかいけれど長持ちする双糸のタオルを作ることに成功。技術を知り尽くしているからこそできた発明だった。

柔らかくて長持ちするZUTTO(左)と、F100カラータオル(右)。

タオルをつくる人も、幸せでなきゃいけないと思う。

F90からF100へ、そしてZUTTOに共通しているのは、「長持ちするタオル」「使いやすいタオル」というところかもしれない。

「そうですね。うちは昔から、洗濯を重ねても長持ちする、しっかりとしたタオルづくりが特徴かもしれません。やっぱりタオルは何度も使うものですから、最初に買うときの気持ち良さも大事ですが、それが続かないと意味がないなと」

そんな藤高氏が100周年を機に改めて強調したい方針は、『タオルを通して心豊かな生活文化を創造する』だという。

「それは、お客さまに対してもそうなんですが、同時に、社員やスタッフに対してもそうありたいなと。タオルはいまだに人あってのものです。ボタンを押したらできるわけではない。だから、3Kというイメージを変え、タオルをつくること自体が幸せなことにならなきゃいけない」

リニューアルした社屋が、美しくモダンな内装なのも、そんな理由からだろうか。

「うちの福利厚生はけっこう充実していますよ。社員寮は家賃1000円ですし、社員食堂にはちょっとだけトレーニングマシンを置いてますし(笑)」

「今治を盛り上げなければ、タオル産業の未来はない」という先代の想いを継いだ若き社長は、しなやかな感性と骨太な指針の持ち主だった。

分業の多い今治では珍しく、糸染めから仕上げまで一貫生産できる体制が整っている。

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藤高タオル銀座
住所:
東京都中央区銀座7丁目12-1藤高ビル1F
TEL:
03-6278-8852
営業時間:
11:00-19:00(場合により20:00)
休:
年末年始

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