2017.03.03 |強羅花壇さん|インタビューVol.3

四季の風と人の手間がつくる
“本物”のおもてなし。

強羅花壇

GORA KADAN

箱根登山鉄道の強羅駅から徒歩5分。「いつか泊まりたい宿」として注目を集める日本旅館。旧閑院宮載仁親王が避暑用の御別邸として所有されていた土地で、戦後、創業者の手に委ねられ平成元年の全面改装を経て現在の形に。平成3年には世界的に有名なホテルレストラングループ「ルレ・エ・シャトー」の厳選な審査を受け、加盟店となり海外からの賓客からも高い評価を得ている。

いまこそ“本物”の日本旅館が求められている。

(強羅花壇広報担当の竹垣さん)

強羅花壇広報担当の竹垣さん

さて今回は、憧れの宿として名を馳せる強羅花壇さんに、今治タオルを置いていただいているということもあり、取材にやってまいりました。広報担当の竹垣さんにご案内していただきます。よろしくお願いいたします。
竹垣広人さん(以下、敬称略):よろしくお願いいたします。強羅花壇は、もともと閑院宮載仁親王が夏の避暑用の別荘にしていた敷地です。隣の洋館が当時の閑院宮様のご邸宅で、いまはレストランとして使用しております。
本館と離れは、その後、強羅花壇のオーナーが新たに建設したものです。
(当時の外観のまま残る旧・閑院宮様御別邸)

当時の外観のまま残る旧・閑院宮様御別邸

あちらは昭和レトロな雰囲気がとても素敵な洋館ですが、本館の方はまた違った和と洋の溶け合う空間ですね。
竹垣:はい。平成元年に3代目の現オーナーが全面改築を行い、竹山聖という建築家の先生による設計により、現在の形になりました。
この廊下は有名ですよね。強羅花壇さんの象徴みたいな感じでしょうか。
竹垣:そうですね。ここの写真を見ていらしたというお客様も多くいらっしゃいます。
お寺の廊下をイメージしたものだと聞いております。
夏はこのガラス戸をぜんぶ開けることができまして、自然の風を感じていただけます。
(竹山聖という建築家の先生による設計の廊下)
竹垣:ちなみにこの廊下の床は、瓦で出来ているんですよ。
これ、瓦なんですか?
竹垣:タイルでしたらもう少し手もかからないんですけど、この風合いを大事にしておりまして…。
定期的に一枚一枚ワックスがけをしております。
さすが…手間を惜しまないんですね。 いま日本式の高級旅館が盛り上がってきていますが、そのなかで強羅花壇さんはどのような存在だとお考えですか。
竹垣:そうですね。昨今、たくさんの新規オープンされた旅館もあるなかで、着物を着たスタッフがご到着からご出発まで一貫したおもてなしをする旅館はだんだんと減ってきました。そのような中でこそ”本物”の旅館が求められる時代だと思います。強羅花壇は”本物”を意識し、国内外のお客様に喜んでいただける宿を目指しております。
日本旅館の”本物”ということですよね。こちら内装などは、古典的な部分もありながら、かなりモダンな感じもしますが。
竹垣:たしかに建築や内装に関しては、いまのオーナーが海外に行っていたこともありまして、外国のホテルを参考にしていたり、和と洋のエッセンスを取り入れています。
ただ、おもてなしの部分は、ひとりのスタッフがご滞在中のお世話を担当し、ご朝食、ご夕食ともにお部屋でくつろいでいただきながらお召し上がりいただくという、昔ながらの旅館のスタイルを大切にしています。
(3本の源泉の内2本は庭園から湧出する自家温泉。冷え性や疲労回復などに)

3本の源泉の内2本は庭園から湧出する自家温泉。冷え性や疲労回復などに

経営理念とか哲学としては、どのようなことを考えてらっしゃいますか。
竹垣:「お客様第一」です。当館にお越しいただくお客様は常に何かを求めていらっしゃいます。
そういったお客様のご要望を事前に察知し行動できるよう心掛けております。
そういう理念って、スタッフ全員に行き届かせるのが大変そうですが。
竹垣:一週間に一度全体ミーティングを行いまして、そこでオーナーの方針を伝えたり、「もっとあそこはこうしたほうがいいんじゃないか」などという話し合いを客室係やフロントの者も含め、全員で共有しております。
オーナーさんはそんなにいらっしゃってるんですか?
竹垣:毎週、東京とこちらを行き来していますね。一週間で、木・金・土・日曜日はこちらにいます。
もともとオーナー自体がこのホテルの形をつくってきましたので、つねに現場で見て、思ったことを伝えるようにしているようです。オーナーがよく言う言葉は、「お客様をよく見て、なにを求めているかを察知するように」ということです。
そんなにいらっしゃって、直接お話しされていたら、全員に沁みわたりますね。
強羅花壇は箱根にしかないですけど、そういうオーナーさんのやり方もあるんでしょうか。
竹垣:他には広げずにここでやっていくというのが最初からの方針のようです。閑院宮様から受け継いだ「強羅花壇」という名前がありますし、他に出していくとオーナーも体ひとつでまわりきれなくなり、どうしても管理の質も下がってきますから。

旅館の評価は、 リネン類で決まることも多いので。

(本館から少し歩いたところにある離れ「花香」)

本館から少し歩いたところにある離れ「花香」

竹垣:離れは4室ありまして、こちらが一番大きな部屋「花香」です。ここは12.5畳の本間、8.5畳のベッドルーム、6畳の奥の間と、庭園で構成されております。
(離れ4室のうち一番大きな部屋「花香」)
これは素敵なお部屋ですねえ。人気あるでしょうね。
竹垣:はい。ここのお部屋に関しては、1年中あいている日がなかなかないくらいで、今日もこのあとご到着のお客様がいらっしゃいますね。
あ、こちらはベッドルーム? わあ。素敵ですね。
竹垣:はい、このお部屋もつくりはこだわっていまして、通気口がなくて、下から空調が出てきて空気が循環するような設計になっているんです。
(「花香」のベッドルーム)
冷房の場合はどうするんですか?
竹垣:同じく、下からです。それでも下に冷気がたまらないような仕組みになっています。
おもしろいですねえ。そして湯船がふたつもついてるんですね。
竹垣:青森ヒバの湯船と、スチームサウナ付シャワーブース、そしてこちらの目玉なんですが、巨石をくりぬいた露天風呂があります。温泉は、弱アルカリ性の単純温泉で、そんなには熱すぎないお湯になっております。
(「花香」の露店風呂とリネン)
アメニティーなどは、どのような基準で選ばれているんですか?
竹垣:客室内のアメニティーやインテリア等の基準には高い品質とセンスが求められます。お客様にお使いいただいて心地よいものや、安心してご利用いただけるものを採用しております。化粧水なども、「福美水」という、そんなに知名度は高くないのですが、ヨモギ、クマザサ、シラカバ樹液などを使ったオーガニックで質の高いものを採用しております。
こちらに今治タオルを置いていただいてるんですね。
竹垣:はい。離れのお部屋限定で、強羅花壇と今治のIKEUCHI ORGANICさんのコラボレーションタオルを置いています。
デザインも、オーナーが好みをお伝えしまして、IKEUCHIさんと一緒につくっていきました。
なぜIKEUCHI ORGANICさんのタオルを選ばれたんですか?
竹垣:2011年にこの離れを新しく建てるときに、本館とはなにか差をつけたいと考え、このタオルをオーナーがみつけてきたんです。肌ざわりが評判だったことと、風力発電でつくられたもので、環境にやさしいというのも選ばれた理由でした。
スタッフの方が洗濯なさっていると伺いましたが。
竹垣:業者クリーニングだとせっかくのタオルの生地が傷んでしまいますので、今治タオルはうちのスタッフで洗っております。本当は全館に今治タオルを入れたいんですが、そういった理由で、スパと離れに限定して使わせていただいてます。
ありがとうございます。そこまで手間をかけていただいているとは。
(スパと離れ限定の今治タオル)
竹垣:やっぱり旅館の評価はリネン類で決まることも多いので。今治タオルは品質が極めて高く、独特の柔らかな風合い・肌触りを持っているため、お客様にも安心してご利用いただけます。こちらのタオルはうちの売店でも販売しておりまして、今治タオルを世界に発信するお手伝いができればと思っております。
ここでしか買えない強羅花壇オリジナルタオルですね。どういった方が買っていかれるんですか?
竹垣:わりと海外の方が購入されてますね。今治タオルを知らなくても、使い心地がいいということと、強羅花壇オリジナルロゴが入っているということで。
スパの方でも今治タオルを置いていただいているんですよね?
竹垣:スパでは、今治の八木満(やぎみつ)タオルさんのものを置かせていただいております。お客様が長時間肌にふれるものとして、なるべく気持ちのいいものを選ばせていただきました。
(強羅花壇内にあるスパサロン「KADAN SPA」。宿泊客以外が利用できるプランも)

強羅花壇内にあるスパサロン「KADAN SPA」。宿泊客以外が利用できるプランも

竹垣:じつは私も、母が今治の出身なので、小さい頃から今治タオルには慣れ親しんでいました。
そうでしたか! それで今治タオルを使っていただいてるんですか?
竹垣:いえ2011年から置いていて、私が入ったときには、すでに使われていました。あのマークを見たときは「今治タオルだ!」と感動しましたね。
それは、ご縁がありますねえ。

空間の香りまで、
オーナーのこだわりが入っています。

(強羅花壇内にある温水プール)
竹垣:こちらが温水プールです。ガラス戸を開けますと、そこの苔の部分を屏風絵のように美しく見ることができます。 夏場はガラス戸を開けて、涼しい風を取り入れることができます。だいたい水温が35度くらいなので、冬場でもお楽しみいただけるような構成になっております。
なんでしょうね、この素敵さって。ただ高級なだけではないというか。窓のつくりとか、天井とか、デッキとか、すべてのアートディレクションに、海外のリゾートに行ったときのようなときめきがありますね。
竹垣:こちらもリニューアルオープン当初からある施設のひとつです。ここも含めて、館内はほぼすべて建築家の竹山先生が、オーナーの意見も取り入れながら、長いこと練って、設計されました。だいたい旅館というのはお部屋に力を入れるんですけれども、強羅花壇はパブリックなスペースも大胆に建築しています。この発想の仕方は、旅館というよりはホテルに近いですね。オープン当初はギリギリといいますか、利益が取れるか取れないかという形だったんですけれど、逆にそれがいまとなって、この空間の使い方を新鮮に感じていただけているようです。
建築家の竹山さんはもちろんのこと、きっとオーナーさんのセンスも素晴らしいんでしょうね。
竹垣:もともとアパレルの会社にいたり、イタリアにいたこともあって、空間の香りなども含めて、オーナーのこだわりは随所に入っています。
歩くたびに感動ポイントがあるし、すごく手をかけられて、ていねいに運営されている旅館という感じがしました。いつかぜひ泊まってみたいです。どうもありがとうございました。
(強羅花壇)

イ ケ ウ チ  オ ー ガ ニ ッ ク

IKEUCHI ORGANIC

「風で織るタオル」

すべての電力を風力発電で担うIKEUCHI ORGANICタオル。
最大限の安心と、最小限の環境負担で、テキスタイルをつくりつづけています。
ビジョンは、「2073年(創業120周年)までに赤ちゃんが食べても安全なタオルを創る」。
文中のコラボタオル「花福」は、強羅花壇内ショップ内のみで販売。

[IKEUCHI ORGANIC ホームページ]
http://www.ikeuchi.org

や ぎ み つ

八木満タオル

「やぎみつの、優しいタオル」

ゆったりとした癒しのひとときは、セラピストの大切なステージ。ステイタスアップとして重要なタオルは、さまざまな施術や使用方法を考慮して製作した『YAGIMITSU』のリラクシングタイム・シリーズです。素材、織り、吸水、速乾性、を大切に、お客様のデリケートな肌へ思いやりを込めて、細部まで一枚一枚丁寧に仕上げています。箱根の自然を生かしたオリエンタルな強羅花壇KADAN SPAで、きっとその繊細な優しさを感じて頂けることと思います。

[八木満(やぎみつ)タオル ホームページ]
http://www.taoruya.com

 

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