2021.12.23

タオルの端材を再生する技術「L∞PLUS(ループラス)」とは

タオルの端材を再生する技術
「L∞PLUS(ループラス)」とは

今治産地では、タオルの製織時に生まれる端材(捨て耳)が、年間で数百トンは焼却処分されている問題等を深刻視し、かねてからさまざまな資源ロス削減活動に取り組んできました。2021年、今治タオル工業組合は、倉敷紡績株式会社(クラボウ)の運営するアップサイクルシステム「L∞PLUS(ループラス)」と連携。捨て耳を再利用した原糸を用い、アップサイクルタオルをつくる取り組みを開始しました。今回は、このループラスについて、クラボウ繊維事業部の韮澤佑多氏にお話を伺いました。

 

サステナブル・ファッション・エキスポでも注目

もともとループラスは、繊維製品の生産工程で発生する端材を、クラボウ独自の技術で再資源化し、さまざまな製品へとアップサイクルする取り組みです。

「2017年から展開し、エドウィンさんと連携してデニムなどを再資源化していたのですが、他にも何か捨てるしかない素材を再利用できないかと考え、今治タオルさんにお声がけしました」(韮澤氏)

 

この技術は社会的な期待も大きく、クラボウは10月、東京ビッグサイトで行われた「国際サステナブルファッションEXPO」に出展。

「こうしたさまざまな企業が出展する展示会に参加することは、繊維事業部としても珍しいことでした。会場にはメーカーやアパレル、商社などのほか、一般の方もいらっしゃいましたが、かなり数多くの方に手に取っていただき、名刺をいただいただけでも200人以上、全体ではその2〜3倍の方に興味を示していただきました」

訪れた方が関心を示したのは、この捨て耳を反毛して糸に戻す技術への関心もさることながら、ループラスの色。杢調(もくちょう)と呼ばれるグレーっぽい色ですが、これ、染めた色ではないのです。

 

「染めることもできるのですが、染めずにそのままでも、こうした色になるんですね。いろいろな色の捨て耳を利用するので、白い部分があったり、赤い色があったり、ランダムにタオルの表面に出ている色が混ざり合っているのですが、この色が味わいがあると評判でした」

紺色のタオルは染めたものらしいですが、確かにグレーの方も十分美しいですね。

「染色をしなくていいという意味でも、さらに環境にいい。もとの捨て耳の色によって微妙に色合いが変わるので、ロットごとに違うのも逆に価値があっていいのではとおっしゃる方もいました」

産地とのコラボレーションで、循環型ビジネスへ

 

「いま今治の他に、奈良の奈良県靴下工業協同組合、西脇の織生地の産地などにもご協力いただいていますが、さらにさまざまな産地とのコラボレーションを考えています。例えば、今治タオルの捨て耳から生まれた糸を使って奈良で靴下を作ることを実現しました。今後は産地間の連携を強化することで、国内循環型のビジネスモデルとしてより発展させていきたいですね」

と語る韮澤氏。本来、捨てるしかなかった端材でこんなに素敵な素材ができて、さらに環境にもいいということであれば、今治タオルとしてもいいことばかり。サステナブル素材「ループラス」。ぜひとも広げていきたいですね。