2021.06.24

サステナブル仕様になった 今治タオル産地ブランド「ふわり」

サステナブル仕様になった
今治タオル産地ブランド「ふわり」

産地ブランドの出発点「ふわり」が、
9年ぶりにリニューアル

「ふわり (FUWARI)」。それは、愛媛県内でしか買えない今治タオルの産地オリジナルブランド。1996年に産地ブランドの確立と今治産地のPRを目的にして第1弾が制作され、2012年までに第16弾まで発売されてきたロングセラーシリーズ。今治タオルオフィシャルショップでも、産地限定ブランドとして人気があります(※販売店は文末)。

そして今年、佐藤可士和氏によるリブランディングに合わせ、9年ぶりに「ふわり」の第17弾を制作。地元出身デザイナーによるコンセプトとデザインが、コンペによって選ばれました。

「今回、久しぶりに新デザインが制作されたのは、佐藤可士和氏のブランディングにより、今治タオルブランドの認知度が高まってきたこと、今後はクリエイターとのコラボやフィロソフィーの発信など、メーカーブランドを育成していこうというフェーズに入ったという背景があります」(今治タオル工業組合理事長 正岡裕志氏)

そもそも第1弾を制作した当時は、国産タオルが海外生産の安いものに押され、行き詰まっていた頃。そこで問屋に頼りきりの販売形態を見直し、産地ブランドを育てて独自の販売方法も模索しようとしていた時期でした。そこで、しまなみ海道が開通するタイミングに、今治をタオルの街として全国に知ってもらう千載一遇のチャンスと捉え、今治を訪れてくる人たちに今治タオルをPRしようとしたのです。そんななかできたのが「ふわり」でした。

「つまりこの『ふわり』は、産地ブランドの出発点とも言えますね」(正岡理事長)

今治タオルのオフィシャルショップに訪れるお客さんからも、地域限定商品を求める声が高いといういま、佐藤可士和氏にリブランディングをお願いし、SDGsにも配慮した新しい「ふわり」の制作を進めてきました。

パッケージは、SAMURAIデザイン

「今回のリニューアルでは、『今治タオル』としてより本質的なあり方を考えていきました。産地オリジナルブランドである『ふわり』で、今治出身のデザイナーの方々とのコラボレーションが実現したことは、社会課題の解決に向けた共創を目指すブランドとして嬉しく思っています。パッケージのリニューアルにあたっては、過剰包装を抑えたシンプルなデザインに刷新しました」(佐藤可士和氏)

佐藤氏のコメントにもあるように、今回「ふわり」のリニューアルポイントは、環境に優しくシンプルなものにし、SDGsにも対応したものにしたこと。帯状のパッケージにし、タオルに入っていたネームも「たたきつけ」から、通常のネームに変え、全体的に過剰な装飾を避けました。

新パッケージは、クリエイティブディレクター:佐藤可士和氏 アートディレクター/デザイナー:糟谷義人氏により制作された

パッケージデザインを担当したアートディレクター糟谷義人氏にお話を聞きました。

「いままでも使われていた『ふわり』のロゴを際立たせ、要素を削ぎ落とすことで、品質感を出しています。やっぱり今治タオルはシンプルなイメージがあると思うので。また、タオルの柔らかさが伝わるように、紙は少し透けるドリープFという素材を使いました。袋ではなく帯にすることで、環境にもやさしく、店員さんの作業的にも効率をよくする効果も狙っています」(糟谷氏)

ちなみに、SAMURAIで約10年間今治タオルを担当していた糟谷氏は、この春に独立されましたが、今後も引き続き今治タオルのクリエイティブに関わるそうです。

シンプルになった「FUWARI」ネーム

地元出身デザイナーと、
地元メーカーが共作した新デザイン

では、タオルのデザインについて伺いましょう。

「地元出身のデザイナーに声をかけ、3つの会社からアイデアを出していただきました。プロモ―ションワーキング・グループやオフィシャルショップで選考し、最終的にデザイン会社2社による3つの柄が採用されました。いままでの『ふわり』は和風のデザインが多かったけれど、今回はカラフルだったり、モダンだったり、今までにないようなデザインができたと思っています」(正岡理事長)

それぞれ今治をテーマにデザインされた3種類の柄。まず一つ目は、「瀬戸内の煌き」。デザイナーは、(株)アバンギャルド・クリエイティブ、タオルを織り上げたのは(株)藤高です。

「瀬戸内の煌き」は、アバンギャルド・クリエイティブと藤高が制作

「いつも穏やかで、見る人の心を落ち着かせてくれる瀬戸の海。朝に夕に、太陽の光を受け眩しく輝く波頭、キラキラとした波打ち際。そして豊かな海からの恵みをイメージして、デザイン化しました」((株)アバンギャルド・クリエイティブ 代表取締役社長 阿部大輔氏)

「今回のデザインは瀬戸内の海がテーマなので、瀬戸内の海や波をグラデーションで表現しました。カラフルなドット柄が特徴のため、ドットの部分を緯糸にすることで、柄をはっきりと表現しています。緯糸で色を表現するため、パイル朱子という手法を使用しています。また、緯糸が増えるとタオル自体が固くなってしまうため緯糸の本数を最小限にして、柔らかさを出しています。糸は普段使いしていただけるよう、藤高オリジナル糸の『F100』を使用しています。適度に柔らかく、耐久性のある糸を使用しているため、毎日使いやすいタオルに仕上がっています」((株)藤高)

二つ目のデザインは、「今治の自然」。デザイナーは同じく(株)アバンギャルド・クリエイティブで、タオルメーカーは(株)丸山タオルです。

「今治の自然」は、アバンギャルド・クリエイティブと丸山タオルが制作

「今治市は自然が豊かで、風光明媚な景観が至る所に在ります。それは野山に限らず、街中であっても色々な植物が私たちの目を楽しませてくれます。そのような植物の中から、今治市の花であるツツジが群生する様子を、吉祥文様である亀甲にアレンジ・デザイン化しました」((株)アバンギャルド・クリエイティブ 代表取締役社長 阿部大輔氏)

「デザイナーの意図を汲み取り、ガーゼとパイルの調和を大切にして白いパイルのキャンパス上に今治の花であるツツジの群生を鮮やかに表現することで、タオルを使う方が自然豊かな今治市を想い浮べて楽しめるようにしました。綿花生産量全体の5%の収穫量と希少で、光沢がありしなやかな超長綿を使った無撚糸をパイルに使うことで最高級の柔らかさと軽さを表現しました」((株)丸山タオル)。

そして三つ目は、個性的なデザイン「いつもの帰り道」。デザインは、(有)スタジオニブロール。タオルメーカーは、田中産業(株)です。

「いつもの帰り道」は、スタジオニブロールと田中産業が制作

「今治で生まれ育った自分ができる表現は何かと考えたときに、やはり今治で過ごした頃の記憶にアクセスすることだろうと思いました。デザインとしては、華美に装飾的にせず余白を大きくとりながら、一本の線のみで表現しました」((有)スタジオニブロール 代表取締役社長 矢内原充志氏)

「今治で過ごした時間や記憶を切り取った絵画のような、どこかノスタルジックな雰囲気を持ちながらも、イラストのラインを強調した斬新なデザインを、両面6重ガーゼ仕様で表現しました。ガーゼ特有の薄手でさらっとした質感ながらも、6重ガーゼ中に4層の空間があることで、通常のガーゼよりも弾力があり、ふっくら柔らかな風合いに仕上げています。素材は綿100%で、甘撚りの糸を使用しているため、さらっとしていて軽やかな使用感に仕上がっています。しまなみ海道を走るサイクリストに使っていただくことをイメージし、お土産にしても軽くてかさばらないタオルに仕上げました」(田中産業(株))

今治みやげとしてもおすすめ

「上の2つが『ふわり』を16弾やってきた流れにそった、スタンダードで誰にでも愛されやすいデザインなのに対し、3つ目はいままでにないデザインで、タオル以外のアイテムにも使っていけそうなものになっています。どれもそれぞれ良さがあって、今治のお土産としてはとてもいいラインナップになったのではないでしょうか」(正岡理事長)

なるほど。どれも素敵ですね!

「また、今回は選ばれなかったけれど育ち盛りのメーカーさんにも手を挙げていただきました。それまではこうした産地ブランドのコンペに参加しなかったようなメーカーさんも、若い後継者たちが興味を持って手を挙げてくれたことには、とても嬉しかったし、意義があったと思っています。これからもこうしたチャレンジを続けて、今治産地を活性化していきたいですね」(正岡理事長)

県外の方も、今治や愛媛にいらした際は、ぜひ「ふわり」を探してみてくださいね。



※【ふわり販売店】
今治タオルオフィシャルショップ3店舗(※愛媛県限定)
今治タオル本店 〒794-0033 愛媛県今治市東門町5丁目14−3
今治国際ホテル店 〒794-8522 愛媛県今治市旭町2丁目3−4
松山エアポートストア 〒791-8042 愛媛県松山市南吉田町2731松山空港1F

今治タオルオフィシャルオンラインストア
https://imabari-towel.jp/

今治城 〒794-0036 愛媛県今治市通町3丁目1−3
道の駅 風早の郷 風和里(ふわり) 〒799-2408 愛媛県松山市大浦119
鳩屋 〒790-0842 愛媛県松山市道後湯之町13-16