2020.11.30 |森は、みんなのエネルギー。 「今治タオルと水の森」イベントレポート。(前篇)|今治レポートVol.14

森は、みんなのエネルギー。
「今治タオルと水の森」イベントレポート。(前篇)



去る11月1日、よく晴れた日曜日の朝。今治市と今治タオル工業組合の2者協定によりスタートした「今治タオルと水の森」の第一回体験イベントが行われました。

「今治タオルと水の森」プロジェクトって?

水。それは、今治タオルをつくっている大切な要素のひとつ。今治には、高縄山系を源流とする蒼社川が流れ、良質な伏流水に恵まれています。硬度が低く、金属イオンの少ないこの水が、タオルの材料である綿の柔らかさを引き出してくれるのです。

今治タオル工業組合は、この今治タオルを支える水と、水をつくっている森を大切にしたい!と考え、今治市とタッグを組み、CSR活動として「今治タオルと水の森」プロジェクトを始動しました。具体的には、今治市の市有林である玉川町の森を整備し、森林づくりをしていこうという活動です。

玉川湖畔にある今治市の市有林。近くには玉川ダムがあります。



今回のイベントは、その活動の一環で、シンボルツリー記念植樹や体験学習による情操教育が行われました。参加者は今治タオル工業組合の組合員とその家族。なるほど、真面目で大切な活動ですね~。そう思いながら取材に伺ったIMABARI LIFE編集部でしたが、これがものすごく楽しくて素敵なイベントでもあったのです。

シンボルツリー「イロハモミジ」を植えよう

開会の挨拶をする今治タオル工業組合・楠橋理事


開会式の後、まずは、シンボルツリーの植樹。今治市の山本部長と、今治タオル工業組合の井上理事長、そして子どもたちが、スコップでイロハモミジという木を植えていきます。



イロハモミジは、葉の先が七つに裂けて「いろはにほへと」と数えたところから、この名前になったのだとか。11月には美しく紅葉し、まさにこのプロジェクトのシンボルになっていくでしょう。



…でもちょっと待って。植樹って、1本しか植えないんですか…? 「こういうイベントだと、たくさん植樹するイメージを持つ方が多いのですが、今回考えたのは、木を『植える』よりも『使う』こと。森は充分育っていて、使わないと荒れてしまうんです」
(一般社団法人をかしや 菊間さん)

例えばこの近くに生えている竹。あまりに生えすぎて、他の木が生えなくなってしまっているのだとか。…竹ってそんなに怖いものだったんですか!?

使わないと森は荒れる!?竹と森と人間のお話。

その詳しいお話を、人と自然をつなぐ活動をしている一般社団法人をかしやの菊間さんに紙芝居で説明してもらいました。テーマは、「森はみんなのエネルギー」。



昔々、日本人は、森の恵みを暮らしに生かしてきました。家や家具の材料にしたり、火を焚くエネルギーにしたり、落ち葉を肥料にしたり。竹も、傘やざるの材料など、さまざまな用途に使われ、それによって森は健全な姿を保ってきたのです。



しかし最近は、プラスチック製品が増えたこともあり、そうした伝統は失われ、木や竹があまり使われなくなってしまいました。その結果、森は荒れ、土砂崩れや洪水が起こるようになってしまいました。

特に竹は、伸び放題になると、まわりの木が生えなくなってしまいます。「竹害」と言われ、深刻視されている問題です。

紙芝居で竹のお話を説明する菊間さん


こうした竹を切って「チップ化」することで、昆虫たちに分解され、彼らのエネルギーになったり、堆肥になったり、動物や植物の住処になったり、さまざまなことに活用できるようになります。

そこで今日は、みんなで竹を切ってチップにし、カブトムシランドをつくりましょう!



竹チップを置いておくと、それはカブトムシのエサになるので、母カブトムシが卵を生みに来て、数年後にはカブトムシがたくさん住みついているはず!

なるほどー。紙芝居はとってもわかりやすく、子どもたちもお話に聞き入っていました。

竹を切って、森を育てよう。

さて、それでは実際に竹を伐採してみましょう。竹の切り方は、プロの木こりの方々が指導してくださいました。


まずはヘルメットとノコギリが手渡されました。けっこう大きいノコギリですね!

はじめに、竹の倒したい側に少し切り込みを入れ、次にその反対側を切っていこう。ノコギリは押すときじゃなくて、引くときに切れるんだよ。などなど、木こりさんに教わりながら、ギコギコ切っていきます。



おおっ。倒れた!! みなさんから拍手が起こります。

倒したあとは、運びやすいように短く切り、さらにそれを少し上まで運びます。

うーん、2~3本倒して運ぶだけでも、かなり疲れます。木こりさんのお仕事って大変なんですね。

料理も発電もできる! すごいぞ、木のエネルギー。

休憩時間には、マシュマロやジュースが配られました。マシュマロは、炭で温めて食べますが、これがけっこう難しい。
気をつけないとすぐに焦げ付いてしまいます。

ちなみに、このマシュマロを焼いた炭も、木を燃やしたもの。木って、いろんなものに使えるんですね。


この日、会場には、なんだか変な形のストーブも置いてあって、もくもくと煙が上がっていました。燃料は、炭やまき、木を細かくして乾燥させたペレットなど、さまざまな木の素材が使えるんだそうです。



この木を燃やすエネルギーは、料理をしたり、暖を取る以外に、電気を作ることもできるんだとか。実際、愛媛県内子町では、3分の1の家庭の電気を、このペレットで賄っているそうです。木のエネルギーってすごいんですね!

切った竹を利用して、 カブトムシの住処をつくろう。

竹を伐採したあとは、2つのグループに分かれて情操教育プログラムを実施。選択プログラムAは、竹チップを入れるための「わくわくカブトムシランド」づくり。プログラムBは、食育です。それぞれ好きな方に集まって体験してみよう。

ではAチームをのぞいてみましょう。さっきお兄さんの紙芝居にあったみたいなカブトムシランドをつくります。



まず、4隅に杭を打ち、竹の棒を組んで、プールのような囲いをつくります。木こりさんたちに習いながら、子どもたちは黙々と働いていました。



どんどんできてきましたね! ここに竹チップを入れれば完成ですが、それはランチの後にしましょうか。
ところで、あちらに見えるBチーム、何やらおいしそうなことしてますね…。


(後篇につづく)


「今治タオルと水の森」プロジェクトについて
https://www.imabaritowel.jp/news/news3761


【ご協力いただいたみなさま】

一般社団法人をかしや
http://www.wokasiya.jp/

株式会社リサイクル加藤
今治市喜田村8-2-16
Tel: 0898-35-0749

TORICO
https://torico-co.com/

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