2019.07.22
造船の世界を見渡せる バリシップ2019。
造船の世界を見渡せる
バリシップ2019。
造船業界のすべてが集結する
国際的イベント
今治タオル 本店の入っているテクスポート今治がメイン会場に。
今治といえば、タオルの街。であると同時に、日本一の造船の街でもあります。その今治で、2年に一度開催される西日本最大の国際海事展『バリシップ』が、5月23日〜25日の3日間、テクスポート今治を中心に開催されました。
2009年に179社でスタートしたこのバリシップも、今回で6回目。今年は、16の国と地域から、350の企業や団体が参加する過去最大のイベントとなりました。
今治タオル 本店のあるテクスポート今治では、造船業など海事関連のメーカーがずらりと展示ブースを出しています。
海外メーカーの展示も多く、外国からわざわざいらしている方々もたくさん見かけました。お客さんたちは熱心に見てまわっていますが、並んでいるのは船の中の部品だったりして、IMABARI LIFEの取材班にはチンプンカンプン。たとえば、あの不思議な物体はいったい何?
「これは弊社が輸入している、デンマークのDESMIというメーカーのバラスト水処理装置で、船のタンクに入る水の微生物を処理する機械です。海外に行って船の水を排出する時に、微生物を一緒に捨ててしまうと外来種の繁殖問題となるので、この機械で処理するんです」(中西商事 濱野敬輔さん)
な、なるほど…。世界にはいろんなお仕事があるんですね。丁寧なご説明ありがとうございました。
最初の2日は、このようにビジネス向けのバリシップですが、最終日は一般市民も入場でき、小・中学生を対象にした地元の企業の工場見学も催されます。せっかくなので、ちょっとその一般市民の日も見に行ってみましょうか。
船の電気をつくる会社
BEMAC工場見学
BEMAC本社のある『みらい工場』
ということで、最終日、『BEMAC』という工場の見学会に来てみました。なんだかかっこいい建物ですね!
「未来の船をイメージした建物で、1階は工場、2~5階は事務所です。今治の子どもたちに将来、ここで働きたいと思ってほしいという願いも込めて、『みらい工場』という名前にしています」(BEMAC渦潮グループ統括部 宮田知宜さん)
ここBEMACは、船の中の配電盤づくりやそのメンテナンスなど、電気に関わることをする会社。
船の中の情報を監視する大きな監視盤
この日は小学校から子どもたちがバスで見学に来ていました。さすが造船の街・今治。子どもの頃からこうして船にふれているんですね。
BEMACの創業者が乗っていたという「うずしお丸」
フィリピンの街を走る電気自動車の試乗会
「市内の小中学校からはもちろん、市外からもたくさんのお客様が見えます。毎年1500名くらいいらっしゃいますね」(宮田さん)
ツアーの子どもたちは、船の中で使われている配電盤や監視盤を見たり、BEMACの原点となる「うずしお丸」の展示を見たり、フィリピンなどを走っている電気自動車に試乗したり。なかなか楽しそうですね。
また、4階にある『みらいミュージアム』では、船員の教育に使われる操舵室のシミュレーターがあり、実際に船を運転するような体験ができます。
デジタルビューを見ながら、実際に船を運転してるみたいな体験ができる
日本の船の2隻に1隻はBEMACの製品が搭載されているそうなので、これから船に乗ったら「ここの配電盤はBEMAC製かな?」なんて気にしてみるのも、おもしろいかもしれません。
今治の海と造船業を一望する
今治造船見学
続いては、日本で一、二を争う造船会社『今治造船』の見学へ。ここでは、国内10の造船所で、年間90隻以上の船舶を建造しています。うーん、何もかも大きいですね…!
貨物船やガスを運ぶ船など、さまざまな種類の船があり、普段はなかなか見ることのできない大きなコンテナ船も置いてありました。
ドックで建造中のコンテナ運搬船
岸壁で艤装工事中のコンテナ運搬船
さらに、船にまつわる展示があったり、船底の見学ができたり、高所作業車に乗れたり、造船所ならではのさまざまな体験が用意されていました。
船を動かすプロペラ。全長4.5mもあります。
高いところから造船所を見渡せる高所作業車体験
波止浜湾クルージングがあるというので行ってみると、たくさんの人が並んでいました。
15分ごとに出航するというので、取材班も乗ってみることにしました。この日はお天気もよかったせいか、クルーザーのデッキは家族連れの方などでいっぱい。それでは、出発です!
気持ちいい! 海風を感じながら、この波止浜港に6つある造船所を見てまわりました。
「このへんの海はところどころ急流がすごくて、ときどき揺れるのはその急流にハマっちゃったときなんですよ」
と、船のお兄さんが教えてくれました。これが、村上海賊が活躍したというしまなみの海なんですね。あ、しまなみ海道も見えてきました。
ほんの15分ほどの周遊でしたが、今治の海を体験できて、サイコーの気持ちよさ。満足感マックスで、バリシップを後にしたのでした。
ビジネス向けの展示会だと思っていたバリシップ、造船や海のお仕事のことが学べる上に、家族連れやデートでも楽しめそうなイベントでした。
次のバリシップは、また2年後。機会があればぜひ体験してみてくださいね。