今治の色って、こんなに美しい。
IMABARI Color Show
愛媛県繊維染色工業組合主催、今治の染色技術を紹介する展覧会。
2017年12月に東京・青山のスパイラルガーデンで開催され、2018年2月からは今治での開催を予定している(詳細は記事の最後をご覧ください)。
エマニュエル・ムホー EMMANUELLE MOUREAUX
建築家/デザイナー。フランス生まれ。1996 年より東京在住。
emmanuelle moureaux architecture + design 主宰。
色を大胆に取り入れた建築(巣鴨信用金庫 他)、空間デザイン(ABC クッキングスタジオ 他)、アート(UNIQLO、ISSEY MIYAKE 他)などの多数のプロジェクトを手掛ける。東北芸術工科大学准教授。
山本敏明 TOSHIAKI YAMAMOTO
愛媛県繊維染色工業組合 理事長
1961年 今治市生まれ
2001年 西染工株式会社 社長
2010年 平成21年度省エネ大賞(人材部門)受賞
「染まるものは何でも染めてみる」がモットー
愛媛県繊維染色工業組合主催、今治の染色技術を紹介する展覧会。
2017年12月に東京・青山のスパイラルガーデンで開催され、2018年2月からは今治での開催を予定している(詳細は記事の最後をご覧ください)。
エマニュエル・ムホー EMMANUELLE MOUREAUX
建築家/デザイナー。フランス生まれ。1996 年より東京在住。
emmanuelle moureaux architecture + design 主宰。
色を大胆に取り入れた建築(巣鴨信用金庫 他)、空間デザイン(ABC クッキングスタジオ 他)、アート(UNIQLO、ISSEY MIYAKE 他)などの多数のプロジェクトを手掛ける。東北芸術工科大学准教授。
山本敏明 TOSHIAKI YAMAMOTO
愛媛県繊維染色工業組合 理事長
1961年 今治市生まれ
2001年 西染工株式会社 社長
2010年 平成21年度省エネ大賞(人材部門)受賞
「染まるものは何でも染めてみる」がモットー
染色だから1000色!
すべて色の配合が違うインスタレーション。
2017年12月上旬、東京・青山のスパイラルガーデンで、愛媛県繊維染色工業組合による「IMABARI Color Show」の展示が行われました。
表参道の名所・スパイラル。オープン時間になると大勢の来場者が
エマニュエル・ムホー氏によるインスタレーション「1000色のレシピ」
見所は、建築家/デザイナーのエマニュエル・ムホーさんが手がけた、大きなインスタレーション。
ムホーさんは、フランス生まれでありながら、東京の街に溢れる無数の色を見て衝撃を受け、東京在住を決意したという一級建築士。
ABCクッキングスタジオの空間デザイン、UNIQLOやISSEY MIYAKEのディスプレイデザインなど、色で三次元空間をつくる達人です。
「色といえばムホーさん、ということと、今治タオルのタオルケットのデザインをされたこともあると伺ったこと。
そしてムホーさんの作品が私好みだったので(笑)、今回の展示のインスタレーションをお願いすることにしました」という、
愛媛県繊維染色工業組合の山本敏明理事長に、お話を伺いました。
ムホーさんは、フランス生まれでありながら、東京の街に溢れる無数の色を見て衝撃を受け、東京在住を決意したという一級建築士。
ABCクッキングスタジオの空間デザイン、UNIQLOやISSEY MIYAKEのディスプレイデザインなど、色で三次元空間をつくる達人です。
「色といえばムホーさん、ということと、今治タオルのタオルケットのデザインをされたこともあると伺ったこと。
そしてムホーさんの作品が私好みだったので(笑)、今回の展示のインスタレーションをお願いすることにしました」という、
愛媛県繊維染色工業組合の山本敏明理事長に、お話を伺いました。
山本理事長(以下、敬称略):このインスタレーションは、
「1000色のレシピ」というタイトルで、染色に必要な調合割合、温度湿度、時間の概念を「色のレシピ」として表現したものです。
「1000色のレシピ」というタイトルで、染色に必要な調合割合、温度湿度、時間の概念を「色のレシピ」として表現したものです。
だから数字や記号がぶら下がってるんですね。これ、本当に1000色あるんですか?
山本:ありますよ!
ムホーさんが『100色は展示でやったことあるけど、1000色はない』というので、それでは是非、という話になりました。
あと染色だから1000色、というのもあったんですが…。
ムホーさんが『100色は展示でやったことあるけど、1000色はない』というので、それでは是非、という話になりました。
あと染色だから1000色、というのもあったんですが…。
あ。これ、ダジャレだったんですか…! 気づかなかったです。
山本:はい(笑)。
しかもこれ、グラデーションではないんですよ。同じように見える色も、全部違う色なんです。
グラデーションなら比較的ラクに染められるんですが、
すべて配合が違うから、ひとつひとつ染めなくちゃいけない。それを組合の8社と、染料メーカー4社にも協力してもらって、1ヶ月で染めあげました。大変な作業でした。
帆布でできた数字や記号をひとつひとつ染色
そんなに手間がかかってるんですか。そう思ってみると、さらに凄みが増しますね。でもそれは産地の一体感が高まったんじゃないでしょうか。
山本:はい。そんな風にメーカー同士で共同作業したことがなかったから、やってみて良かったです。
インスタレーションの下にはクッションが並べられ、下から眺められます
染色業界から、 もっと情報発信していかないと。
そもそも、こういう展示をやろうと思われたのはどうしてですか?
山本:10年前までは、今治の染色業界は瀕死の状態にあって、24社あった染色会社も8社に減り、染色もタオルも無くなってしまうかもしれない、と思った時期もありました。
しかし、10年前に今治タオルの再生プロジェクトが始まり、おかげさまで今治の染色も復活してきました。しかし現地では、新たな問題も浮上してきました。今治の染色の伝統を知らない世代が増えてきたこともあり、色水の排水などに対して工場の付近の住民からクレームが来るようになったんです。
しかし、10年前に今治タオルの再生プロジェクトが始まり、おかげさまで今治の染色も復活してきました。しかし現地では、新たな問題も浮上してきました。今治の染色の伝統を知らない世代が増えてきたこともあり、色水の排水などに対して工場の付近の住民からクレームが来るようになったんです。
昔からある産業なのに、いまになって苦情が?
山本:もちろん基準値は守っているので法的には問題ないのですが…。
昔は天日干しをしていたから「ここは染色の会社だ」と目に見えていた部分が、近年の機械化により、分かりづらくなっていること。
また、染色会社が減ってしまったために、ひとつひとつが目立ってしまうことも原因かもしれません。
そこで、染色工業団地を作って、染色会社が一箇所に集まってやっていけばいいのではないか、と考えるようになりました。
そのためにはお金もかかるし、行政に動いてもらう必要がある。行政を動かすためには、もっと染色業界の我々が情報発信をしていかなければ、ということになったんです。
昔は天日干しをしていたから「ここは染色の会社だ」と目に見えていた部分が、近年の機械化により、分かりづらくなっていること。
また、染色会社が減ってしまったために、ひとつひとつが目立ってしまうことも原因かもしれません。
そこで、染色工業団地を作って、染色会社が一箇所に集まってやっていけばいいのではないか、と考えるようになりました。
そのためにはお金もかかるし、行政に動いてもらう必要がある。行政を動かすためには、もっと染色業界の我々が情報発信をしていかなければ、ということになったんです。
確かに、染色産業の大切さが広く伝われば、いろんな業務がやりやすくなりそうですね。
山本:それで、2年ほどの時間をかけて、今治に様々な業界の方をお招きして、勉強会をして来ました。
日本仕事百貨のナカムラケンタさんや、編集家でシビックプライド研究会の紫牟田伸子さん、日本流行色協会(JAFCA)の大澤かほるさんなどにお越しいただいたのですが、そこに、このスパイラル(株式会社ワコールアートセンター)の松田朋春さんもいらしたんです。
そんな流れもあって松田さんから、今回のお話をいただきました。
日本仕事百貨のナカムラケンタさんや、編集家でシビックプライド研究会の紫牟田伸子さん、日本流行色協会(JAFCA)の大澤かほるさんなどにお越しいただいたのですが、そこに、このスパイラル(株式会社ワコールアートセンター)の松田朋春さんもいらしたんです。
そんな流れもあって松田さんから、今回のお話をいただきました。
なるほど。ここスパイラルガーデンは、今治タオルのプレス発表にも使わせていただいた場所ですし、今治とはご縁が深いですね。
山本:表参道駅からも近くてとてもいい場所ですし、こんな機会をいただいて、本当にありがたく思っております。
展示のすぐ横のスパイラルカフェも、エマニュエル・ムホー氏が選んだ30色の今治染色のテーブルクロスに
2017年の今治の色は、
しまなみ海道ブルーとさくら鯛ピンク。
今回、「今治の色」についての展示もありましたね。自然とか造船など、今治にあるものから抽出した色の見本が並べられていて、おもしろかったです。
山本:はい。流行色を今治から発信しても良いのではないか、ということで、今年から「今治の色」を毎年決定していくことにしたんです。日本流行色協会の大澤さんを中心に、ワークショップを開催して、みんな自分の好きな今治の風景写真やイメージを持ち寄り、そこから今年の『今治の色』を決定しました。
2017年の色を使った今治タオル。
会場でアンケートに答えた方に贈呈されました
それが、この青とピンクの2色ですね。
山本:しまなみ海道の潮流をイメージした青と、今治沖でとれるさくら鯛の透明感あるピンク色です。
この「今治の色」の選出は、これからずっと続けていこうと思っています。
この「今治の色」の選出は、これからずっと続けていこうと思っています。
本当にその勉強会からいろんな活動が広がったんですね。でも毎年やってネタ尽きないですか?
山本:何かしらあると思いますよ(笑)。今治にはまだまだいろんな色があるので。
展示の隣にあるスパイラルカフェの
店員さんのエプロンも、今治の色に
最後に、今治タオル工業組合に、何かメッセージをいただけますか?
山本:同じタオルというモノを作るメンバーとして、今後はもっと積極的にコラボレーションしていけたらいいなと思っています。
例えば、染色の発注をしていただくときに、ただこんな色に染めてくれ、こう直してくれ、というだけでなく、どんなタオルにしたいか、どんな風に使われ、どんな感じのものにしたいかを伝えていただければ、こちらからも、だったらこうしたらどうかという提案がしやすくなります。
すでにそんな風にモノづくりを進めているメーカーもあって、そういうところはとてもいいものを作って伸びていますから、これからもっとそんな協業ができるといいなと思います。
例えば、染色の発注をしていただくときに、ただこんな色に染めてくれ、こう直してくれ、というだけでなく、どんなタオルにしたいか、どんな風に使われ、どんな感じのものにしたいかを伝えていただければ、こちらからも、だったらこうしたらどうかという提案がしやすくなります。
すでにそんな風にモノづくりを進めているメーカーもあって、そういうところはとてもいいものを作って伸びていますから、これからもっとそんな協業ができるといいなと思います。
どうもありがとうございました。
会場には、タオルの染色工程を解説するスライドも
このカラーショー、2月には今治で開催されるそうです。
今治では、工場の見学なども計画されているとか。お近くの方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。
今治では、工場の見学なども計画されているとか。お近くの方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。
IMABARI Color Show
愛媛県繊維染色工業組合による今治の染色技術を紹介する展覧会「IMABARI Color Show」が、青山に続き今治でも開催。 エマニュエル・ムホー氏が手がけるインスタレーション「1000色のレシピ」や、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)とのコラボレーションにより生まれた「今治の色」の展示、映像による染色技術の特別展示が巡回します。また、今治展での会期中には、染色工場を見学するツアー(今治の色をフィーチュアした特別ランチ付き)と、ワークショップを行うオープンファクトリーや、トークイベントなどが行われます。詳細は、公式ホームページをご確認ください。
<今治展>
会期:2018年2月2日(金)~12日(月祝)
開場時間:10:00〜18:00
料金:無料
会場:今治市みなと交流センター はーばりー(愛媛県今治市片原町1-100-3)
主催 : 愛媛県繊維染色工業組合会期:2018年2月2日(金)~12日(月祝)
開場時間:10:00〜18:00
料金:無料
会場:今治市みなと交流センター はーばりー(愛媛県今治市片原町1-100-3)
協賛:木村商事株式会社 / 村上産業株式会社 / 有限会社 富士商店 / 株式会社 ヤスハラ
後援:経済産業省 四国経済産業局 / 愛媛県 / 今治市
メインインスタレーション:エマニュエル・ムホー(WEBSITE)
「今治の色」ディレクション:一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)
監修:辻 智佐子(城西大学経営学部教授)
会場設計・制作:株式会社NINO/NINO INC.
企画:スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター
公式ホームページ:http://www.senshokukumiai.com/imabaricolorshow/